不妊・妊婦の豆知識
[Vol.105] <<<次の記事 前の記事>>> バックナンバーはこちら |
ウソなのか、ホントなのか、医師の立場から解説致します。
病院では普通に過ごして構わないといわれますが、HPなどを読むと「着床時期は姫生活」と書かれていて、安静にしないと妊娠できないのかと思ってしまいます。今日あたり着床時期なのに、買い物して荷物を提げて帰宅しました。着床時期をどう過ごしたら妊娠できるのかと悩んでいます。(Aさん)
リラックスして過ごして
ART治療では胚移植した直後が着床時期になります。この時期にベッドで安静にすることが、その後の妊娠経過にどう影響するかについて、研究した論文がいくつかあります。たとえば、2007年に報告されたランダム化比較試験(研究の結果の信頼性が高い)では、胚移植後30分安静にしたかしなかったかで、妊娠率に差が出たかどうかを検討したところ、休息を30分取った人は妊娠率50%、取らなかった人は46.3%と、有意な差はありませんでした。
また、20分休息した人と24時間安静の人とを比べても、違いは見られません。つまり、胚盤胞移植の場合、着床時期に安静にしているかしていないか、その時間が長いか短いかで、妊娠率にはあまり影響がないように思います。
ただ、長時間労働による過労やストレスが、切迫流産や早産のリスクを高めるという報告は有ります。肉体的・精神的に強度の負担がかかることは、着床時期に限らず、妊娠中はできる限り控えたほうがいいでしょう。安静にしていなければ…と急に寝たきりの生活になったり、逆に運動したほうがいいのでは…と慣れない運動をするなど、あえてイレギュラーなことをすると、かえってストレスを増すことになりかねません。本当に普段通り、リラックスして過ごすことを心がけてください。
Jineko 2017 Spring