不妊・妊婦の豆知識
[Vol.104] <<<次の記事 前の記事>>> バックナンバーはこちら |
ウソなのか、ホントなのか、医師の立場から解説致します。
「流産後は妊娠しやすい」という噂を何度か耳にしました。子宮の中がきれいになるから、という意味でしょうか?私としては一度妊娠したのだから、またいつかできるだろうというくらいの意味にとらえていました。「妊娠しやすい」根拠は何なのか気になります。(Kさん 38歳)
妊娠しやすくなるという研究結果も
「流産後に妊娠しやすいかどうか」に関して最近、とても興味深い報告がありました。流産後から子づくりを開始する期間が、0~3カ月以内の人(756人)と、3カ月以降の人(233人)で、累積妊娠率を比較したところ、0~3カ月の累積妊娠率が68.9%、3カ月以上が51.1%と、明らかな差が認められたのです。これは「流産後は妊娠しやすい」、そして「流産後、早めに次の妊娠にトライしたほうがいい結果に結びつきやすい」「期間をあけることでメリットがあるわけではない」ということを、きちんとデータで示した最初の結果だと思われます。
以前は、流産後3カ月は次の妊娠を控えるようにいわれていました。当院では、妊娠によっていったん排卵する機能が停止した卵巣に、再び排卵周期が戻ってくるまで、だいたい2カ月ぐらいの期間を要します。早い方なら1カ月で排卵が回復してきます。すべての人に一律に「3カ月以上あけるように」という指導ではなく、その人の体の状態を見ながら、個別に判断することにしています。
妊娠したことで子宮の胚受容能が改善するなど、体内の環境が変わり、着床しやすくなる、という可能性は考えられますが、なぜ流産後に妊娠しやすいかは、はっきりとは証明されていません。ただ、この研究結果からは1回目の妊娠が流産になったとしても、体の回復次第で早い時期に妊娠できるという期待がもてるのではないでしょうか。
Jineko 2017 Spring