不妊・妊婦の豆知識
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妊活を始めたら、積極的に摂るべき栄養素のひとつとして知られる「葉酸」。 先天性疾患のリスクを下げるため。これまでは”妊娠初期”に特に重要とされてきましたが、研究が進むにつれ”妊娠中”の摂取も大切と判明。さらに、マルチビタミンと一緒の摂取でその働きは高まるとのこと。今回と次回の2回に分けて、この葉酸について考えてみましょう。 妊娠前から「葉酸」が必要な理由葉酸は、たんぱく質や細胞の新生に必要な核酸(DNA、RNA)をつくるのに重要な役割を担う栄養素で、不足すると「二分脊椎症」「無脳症」といった神経管閉鎖障害、「口唇口蓋裂」「ダウン症」などの先天性疾患が発生するリスクが高まる。胎児の重要な臓器は妊娠3週目あたりから形成され始めるので、妊娠に気づいてからの摂取では遅く、そのため厚生労働省も「妊娠1ヶ月目から妊娠3ヶ月目までは、栄養補助食品あるいはサプリメントから1日400μgの摂取を」と呼びかけている。 (※「神経管閉鎖障害の発症リスク低減のための妊娠可能な年齢の女性等に対する葉酸の摂取に係る適切な情報提供の推進について」平成12年12月28日/厚生省) 妊娠中も「葉酸」が必要な理由
流産・早産、胎児発育不全、常位胎盤早期剥離といった、胎盤に関連する妊娠合併症は、母体の葉酸の欠乏による胎盤の形成不全が原因で起こることが報告されている。
「常位胎盤早期剥離」とは、胎児がまだ子宮内にいるうちに、胎盤が子宮から剥がれてしまう疾患で、重症の場合は胎児のみならず母体の命にも危険が及ぶ。 妊娠高血圧症候群や慢性的な高血圧、糖尿病、肥満もリスク因子として考えられるが、葉酸の積極的な摂取によって危険因子の改善が期待できる。 葉酸の働きを高めるには、ビタミンB群をはじめとしたマルチビタミンと一緒の摂取が望ましいとされている。 日本人は「葉酸」不足 サプリメントで補充を!栄養面では、たんぱく質や糖質、脂質などは不足が少なく、カロリーが十分でも、葉酸をはじめとしたビタミン、ミネラルは不足しがちです。これは妊婦に限らず、日本国民全体にいえること。米国やカナダなどでは、政策として、1998年から小麦粉やシリアルなどの主食に葉酸添加を義務付けたので、不足は解消傾向にありますが、日本においては2000年になってやっと厚生労働省が動き、「妊娠1ヶ月前から妊娠3ヶ月までは、健康食品等から1日400μg の摂取を」 という基準を設けました。「葉酸不足による神経管閉鎖障害のリスク低減」のためですが、葉酸を含むビタミンB群は、細胞分裂やDNAの複製といった代謝に深く関わっているため、不足すると、妊娠にまつわる疾患以外の、さまざまな疾患に影響することも考えられます。 妊娠を希望される方はもちろんですが、病気の予防として、葉酸は万人が意識して摂るべき栄養素だと思います。 [参考文献] Jineko 2017 Summer |