不妊・妊婦の豆知識
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前回は、冷えのタイプ「瘀血(おけつ)」と「陽虚(ようきょ)」について、その体質と妊娠力アップへのアドバイス、おすすめの食材、簡単薬膳ドリンクなどをご紹介しましたが、今回はその続編として「陰虚(いんきょ)」と「湿(しつ)」についてをご紹介しましょう。 ①睡眠時間が短い、または夜ふかしが多い ②顔または手足が、ほてることがある ③寝ていると足の裏が、熱くなることがある ④口やのどがよく渇く ⑤皮膚が乾燥する ⑥午後、微熱が出たり、だるくなることがある ⑦暑くなくても寝汗をかくことがある ⑧めまい、または耳鳴りがある ⑨お酒をよく飲む ⑩イライラしやすく、怒りっぽい ⑪体がやせていたり、顔がやつれた感じに見られる ⑫月経周期が長くなったり、短くなるなど乱れやすい ⑬経血量は少ない。色は淡く、煮詰まったしょうゆのようなカスが出ることがある ⑭月経痛は月経中から月経後に鈍痛。腰から尾てい骨までのだるさを伴う ⑮月経前に情緒不安定になりイライラ、怒りやすい。のぼせたりする。 中医学で考える「気・血・水」の「水」とは、唾液、汗、尿、粘膜液、胃液などまで、血液以外の正常な水分=体液をさします。体液は、体内を循環して組織に栄養を与え、うるおす働きをしています。陰虚とはこの体液が足りなくて、うるおい不足の状態のこと。中医学では、体液を陰液と呼ぶため、陰液が不足する=陰虚と呼びます。 このタイプの人は、「かまどにかかったなべの中の水が少ない状態」にたとえられます。体というなべの水が少なくなっているため、半ばから炊き状態になっているのです。 症状は、のぼせ、ほてり。暑くもないのに寝汗をかく。突然、体が熱くなって顔に大量の汗をかく、いわゆるホットフラッシュになる方も。また、口やのどが渇く、肌が乾燥するなどの症状も。熱が上に上がりやすいので、のぼせているのに、手足や腹部は冷たかったりと、陰虚の冷えはアンバランス。メンタル面でも、イライラしやすく、怒りっぽくなり、全体的に更年期の症状とよく似ています。 原因は、睡眠不足、飲食による不摂生、ストレス、老化のほか、気持ちが先走って何事もがんばりすぎ、症状を悪化させている方も少なくありません。 陰虚のタイプは、「なべの中の水をふやす」ことで元気になれますが、単純に水を大量に飲んでも陰液はふえません。乾いた細胞には、美容液でパックする感じと覚えてください。とろみや保湿効果のある食材が効果的です。
体液は、すべての細胞や臓器にうるおいを運び、保護する働きがあり、不足すれば、子宮もうるおい不足で、妊娠力も落ちることに。体液をふやし、うるおいを与える食材を食べましょう。なかでも貝類やいか、すっぽんなどの海洋性コラーゲンが豊富な食材はおすすめです。 陰虚は、特に男性不妊の原因の一つです。体液が不足することで、状態のよい精液をつくることができなくなるからです。ストレス、過労、パソコンでの目の使いすぎ、また、過度なセックスでも体液を消耗します。 何事もがんばりすぎるのがこのタイプ。力80%でいきましょう。 このタイプの方は、上半身に軽い熱感があるため、自分は体力があると思いがちで、がんばりすぎ、体を使いすぎる傾向にあります。また、「がんばっている自分が好き」という方も多いので、症状があらわれたときは、体のサインを素直に認めて、受け止めることが大切。自分の思う力の80%ぐらいで生きるつもりでちょうどよいのです。 激しい運動は、体液をかれさせてしまうので、かえって不調を招きます。また、大量に汗をかくので、サウナも控えたほうが無難です。 睡眠不足は体液を消耗します。疲れたら早めに就寝しましょう。 「気」が上に上がりやすいので、ヨガや太極拳など、気を下におろしてリラックスできる運動をとり入れると、体がラクになります。 保湿効果の高い食材というとピンとこないかもしれませんが、「しっとり、ねばねば、とろり、プルン」をイメージすると選びやすいです。いか、カキやほたて、あさりなどの貝類、ねばねばのムチン質を含む、山いも、オクラ、里いもなど。植物性の油分が豊富なアボガドやごまなども保湿効果の高い食品です。果物なら梨や柿などの秋のものがおすすめ。熱感がある場合は、これにのぼせやほてりを抑える食材をプラスして。また、このタイプは生にんにくは厳禁。体液を消耗し、症状が悪化します。食べるなら加熱しましょう。また、激辛味を好む、何にでもとうがらしをかけて食べる方は要注意!食べてすぐは気持ちが高揚しますが、体の消耗が進み、精神不安を招きます。 ★陰虚におすすめの食材
[材料(一人分)] クコの実・・・・・・・・・・40g りんご・・・・・・・・・・・・1/2個 シナモンスティック・・・1本 黒砂糖・・・・・・・・・・・100g はちみつ・・・・・・・・・・大さじ5 黒酢・・・・・・・・・・・・・1カップ [作り方] [1] りんごは皮と芯を除き、5mm角に切り、クコといっしょに密閉容器に入れる。黒砂糖、はちみつを加え、黒酢を注ぎ、シナモンスティックを加える。ふたをして、1日1回ほど振りまぜ、3日~1週間漬ける。 [2] 1を大さじ2ほど器に入れ、4倍ほどの湯で割って飲む ◆素材メモ [クコの実] 血を補い、体液をふやしてうるおいを与えます。美肌効果が高く、女性の薬膳には欠かせません。目の疲れ、ドライアイにも効果的。お茶のほか、いため物、あえ物、スープやサラダのトッピングにすると、コンスタントに食べられます。 |