不妊・妊婦の豆知識
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前回は、冷えのタイプ「気滞(きたい)」と「血虚(けっきょ)」について、その体質と妊娠力アップへのアドバイス、おすすめの食材、簡単薬膳ドリンクなどをご紹介しましたが、今回はその続編として「瘀血(おけつ)」と「陽虚(ようきょ)」についてをご紹介しましょう。 ① 唇やつめの色が紫がかっている ②打った覚えがないのに、青あざができることがある ③目の下にクマができやすい ④シミができやすい ⑤唇や歯ぐきの色が紫色っぽいことがある ⑥動脈硬化や血栓があると言われた ⑦腫瘍や筋腫、子宮内膜症がある ⑧舌に紫色の部分がある。または、舌の裏の血管が浮き上がって濃い紫色が見える ⑨みみず状血管(胸・首・太もも・ひざ下などにみみずのような、最小血管が蛇行 して見える)がある ⑩月経が遅れがちである。または血のかたまりが多い ⑪痔がある(男性) ⑫月経前から月経中に下腹部に強い痛みがある ⑬月経中に膣が下に引っぱられるような墜落感がある ⑭経血に、暗い色の血のかたまりがまじる ⑮月経前にイライラが強い ⑯月経周期が遅れがち 中医学で考える「気・血・水」の「血」=血液の循環が悪くなって、スムーズに流れない状態。そのため、古い血液(瘀血) 内にたまることで血行が悪化、栄養が行き届かず、代謝が低下して老廃物がたまりやすくなります。現代栄養学でいう、血液ドロドロの状態といえばわかりやすいかもしれません。 瘀血のサインは、主に肌と婦人科系あらわれます。たとえば、顔色や唇、つめの色が紫がかっている、目の下のクマ、シミができやすい。血行不良のため、頑固な肩こりや月経痛などの痛みの症状がおこりやすいのも特徴です。 また、血が滞っていることでしこりができやすく、子宮内膜症や子宮筋腫などの婦人科系疾患は瘀血と深いかかわりがあるといわれています。 瘀血の主な原因は、冷えとストレスです。夏でも冷房に長時間さらされているなどの生活が続いている、仕事で責任やプレッシャーなどのストレスのかかる状況におかれている・・・・・。瘀血は長い時間をかけてつくられる体質なので、女性の場合、若い時期に無理をした、特にキャリア型の方に多く見受けられます。 冷えに関しては下半身や体の末端が冷える場合が多いので、体を冷やさない服装にする、入浴で体をあたためる、マッサージや運動で血行を促進するなど、物理的手段も有効です。薬膳としては、冷えを招く冷たい飲み物は避け次に紹介する血流の流れをよくする食材をとりつつ、補血効果のある赤や黒の食材を食べてください。
中医学では、「通らなければ痛む」という原則があり、瘀血タイプの月経痛は激痛の場合も多くみられます。また、月経困難症、卵巣嚢腫、子宮筋腫などの婦人科系の不調は瘀血がからんでいる場合が多いので、中医学の不妊治療の大きな柱は瘀血の改善といってよいでしょう。瘀血は気虚(気のエネルギーが不足)などの小さな症状が積み重なって起こるとされています。いわばストレスや食生活など、体のメンテナンス不足の結果なのです。 瘀血の治療に有効なのが食生活の改善。現代栄養学でいう、血液サラサラのための食生活をとり入れましょう。たとえば、悪玉コレステロールを減らす不飽和脂肪酸を豊富に含む青魚やナッツ類、腸をきれいにする食物繊維を含む食材などを積極的に。薬膳でも昔から瘀血の治療のために使われてきた素材です。 充実のバスタイムで体を開放。ストレスをとり除いて 瘀血の大敵である冷えとストレスの改善には、入浴が効果的です。毛細血管の血流は緊張状態が続くと悪化します。お風呂にゆっくりつかり、手足の指一本一本をていねいにもむと、緊張がほぐれるうえ、血流もよくなります。 お気に入りの入浴剤を利用するのもよいでしょう。体をあたため、婦人科系に効果が高いのは、よもぎ湯です。よもぎの葉を乾燥させ、お茶パックなどに入れて浴槽に入れます。最近はインターネットなどでも、よもぎの入浴パックを購入することができますので、さがしてみるのも一案。また、韓国式のよもぎ蒸しは、子宮から体全体をあたためるので非常におすすめです。 腸内の余分な脂肪やコレステロールを包み込んで体外へ排出し、血管や血液をきれいにするのが食物繊維です。ごぼうやにんじんなどの根菜野菜も有効ですが、白菜やキャベツもおすすめ。薬膳では「ぬれたふきんで体の中を掃除する」といわれています。また海藻類やねばねばの野菜には、水溶性食物繊維が豊富。どちらもデトックス効果がおだやかなので、胃腸の弱い方にも向いています。 また、n-3系脂肪酸を含む青魚やナッツ類は、血中の悪玉コレステロールを下げる働きがあります。薬膳では血の汚れをとかし、巡りをよくする食材とされています。さらに、血行を改善して血液をふやすとされる、赤や黒色の食材も積極的に。食材に含まれる色素成分には、強い抗酸化作用が認められ、現代栄養学でも注目されています。 ★瘀血気滞におすすめの食材
[材料(一人分)] ローズ(ハーブティー用)・・・・・・・小さじ1 ドライクランベリー・・・・・・・・・・・・小さじ2(約10g) [作り方] ①ティーポットにローズとドライクランベリーを入れ、熱湯250mlを注ぐ。3分ほど待って、ティーカップに入れる。2回程度飲める。 ②持ち歩く場合は、なべやかんに500mlの水と材料を入れて火にかけ、沸騰したら弱火で2分ほど煮出す。保温ポットに移す。 ◆素材メモ [ローズ] 気の流れをスムーズにして、イライラや気のふさぎをとります。また、血流を改善し、瘀血をとりさる働きが。月経不順、月経困難。 |