不妊・妊婦の豆知識
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卵子の成長にまつわるトラブル
赤ちゃんのもとになるのが、女性が持って生まれた卵子。うまく育って排卵することが、妊娠への第一関門です。
卵子はホルモン分泌によって成熟し、排卵します。ホルモンの分泌量が少ない、分泌のリズムがくずれて卵がうまく育たないなどで排卵しないことが。卵巣機能不全といい、月経不順や無月経は要注意。
処方箋●必要に応じて不足するホルモンを補ったり、排卵誘発剤を使うことで改善します。肥満や極端なやせで排卵しにくい場合は、適正体重に調整を。
卵子のもとである原始卵胞は、胎児期に500万~700万個つくられますが、加齢とともに減少。本人と同じく卵子も老化し、40才の女性は卵子も40才。加齢で卵巣機能も低下、妊娠しにくい原因に。
処方箋●卵子の老化をくい止める方法は、現在のところありません。AMH検査で自分の卵巣年齢を知って、適切な治療を受けましょう。
AMH(アンチミューラリアンホルモン)は、発育過程にある卵胞から分泌されるホルモン。その数値は卵巣にある卵子数を反映するとされ、いわゆる卵巣年齢の目安となります。若くても数値が低いと早発閉経の可能性も。卵巣年齢が高い人は妊活を急いだほうが◎。
ホルモンバランスの乱れが原因で卵子を包んでいる卵胞を破ることができずに、卵子が排卵しないで卵巣に残って黄体化することがあります。これをLUF(黄体化未破裂卵胞)といい、続くようであれば問題に。
処方箋●超音波検査で卵巣を確認し、しばらく様子を見ます。場合によっては排卵誘発剤を使い、それでも排卵しない場合は体外受精も視野に。
精子・射精にまつわるトラブル
男性の精液検査は体調やストレスなど、コンディションにも左右されがち。1度で判断はしないので、何度か検査を。
精巣の働きが低下し、精子の数が少ないことが。1㎖中の精子数が2000万個以下を乏精子症といいます。精巣につながる静脈の血流が滞ってこぶ状にふくらむ精索静脈瘤のほか、原因不明の場合も。
処方箋●漢方薬やビタミン剤を使う場合もありますが、その効果は人によります。少ない精子を活用して人工授精や体外受精、顕微受精を選択する方法も。
精子の運動率が低い状態を精子無力症、精子の奇形が多い状態を精子奇形症といい、自然妊娠がむずかしい場合も。精子の状態は変化するので、何度か検査をしたのち診断します。
処方箋●薬などで状態を改善するのはむずかしいため、早めに人工授精を考え、場合によっては体外受精・顕微授精も視野に入れたほうがいいでしょう。
セックスのときに十分に勃起しないことをED(勃起不全)、セックスしても膣内に射精できないことを膣内射精障害といいます。いずれも、ストレスやプレッシャーなど、精神的な影響が大きいと考えられます。
処方箋●タイミング法にこだわりすぎるとEDを招いたり、悪化することが。早めに人工授精を試してみるのが妊娠の近道になることもあります。
精子の通り道である精管が詰まって、射精された精液中に精子がいない閉塞性無精子症。また、出口とは反対の膀胱側に射精されてしまう逆行性射精。こうした精子の通り道のトラブルを精路通過障害といいます。
処方箋●手術で精管を通したり、精巣から精子を採取して体外受精や顕微授精を行います。逆行性射精は膀胱から精子を回収して、人工授精や体外受精へ。
射精した精液中に精子が見当たらない無精子症。生まれつき精子をつくることができない、精巣の炎症により精子をつくることができない場合を原発性無精子症といいます。自覚症状はなく、原因不明のことも。
処方箋●精巣にわずかでも精子があるようであれば、手術で精子を採取し、顕微授精を行なうことが可能。ただし、手術で精子が見つからない場合もあります。
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