不妊・妊婦の豆知識
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もしトラブルがあっても、妊娠する方法はある?
月経時にくり返す出血が癒着を起こす
月経のときに体外に排出されるべき子宮内膜が、腹腔内や卵巣、卵管などで増殖する病気で、20代の5~7%、30代の7~10%に見られます。月経のたびに子宮内膜と同じように出血をくり返しますが、きれいに流れ出ていくことがないので、残った内膜が傷んだり、くっついたり(癒着)して、不妊の原因になります。
特徴的な症状は、家事などの日常生活ができなかったり、鎮痛剤を飲まなければならないほどの月経痛がある月経困難症です。そのほかにも、月経の量が多い過多月経、月経時以外の下腹部痛や腰痛、排便痛、性交通などの症状があります。「月経痛と、排便痛または性交痛がある人の80%が子宮内膜症にかかっている」というデータもあり、子宮筋腫や子宮腺筋症を合併していることも少なくありません。
出典:公益社団法人 日本産科婦人科学会ホームページより引用
(http://www.jsog.or.jp/modules/diseases/index.html?content_id=9)
卵巣や卵管など、子宮以外の場所に子宮内膜が増殖したものです。出血をくり返すことで周りと癒着し、かたくなることもあります。
卵巣の中に子宮内膜が増殖し、病巣が袋(嚢胞)をつくって、その中に古い血液がたまった状態です。子宮内膜症にかかっている人の20~30%にチョコレート嚢胞が見られます。
流産や中絶、出産などをきっかけに子宮の筋層がゆるんで子宮内膜が入り込んだり、子宮の筋層に子宮内膜ができてしまう病気です。30代半ばぐらいに多く、はげしい月経痛や月経の量が多い、月経時以外に下腹部が痛いなど、子宮内膜症と似たような症状があります。
移植説と化生説の2つがあります。移植説は、月経血が逆流することで子宮内膜が腹腔内の子宮以外の場所について、そこで増殖するという説。化生説は、月経血の逆流で腹膜が刺激を受けて、子宮内膜のように変化するという説です。どちらにしても、妊娠せずに月経をくり返すことで子宮内膜がふえます。
「月経痛が強い場合は、そうでない場合にくらべ2.6倍も子宮内膜症を発症しやすい」というデータがあります。初経が早かったり、月経周期が短い場合も、月経回数が多くなって月経血が逆流する回数がふえるため、子宮内膜症になりやすいといえます。
Q | 子宮内膜症の手術をしましたか? |
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症状がひどくない場合は手術しないことが多いようです。「妊娠することがいちばんの治療と言われた」というコメントも多数でした。
Q | 手術後にどのような不妊治療をしましたか? |
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手術時の年齢にかかわらず、タイミング法は少ないという結果に。手術後、人工授精から始めた人も早めにステップアップしていました。
赤ちゃんが欲しい(主婦の友生活シリーズ)
治療には薬と手術の2つがあります。卵巣以外に病巣がある場合は、手術も選択肢の一つになります。卵巣に病巣がある場合(チョコレート嚢胞など)は、手術によって正常な卵巣に影響が出ることも。再発もしやすく、何度も手術するとダメージが大きくなるので、妊娠までに1回ですませることが理想です。術後は再発を予防するため、妊娠にトライする時期まで黄体(おうたい)ホルモンを服用します。
将来的に赤ちゃんが欲しい場合には、まず薬による治療で進行させないようにします。服用し続けることで病巣が小さくなることも。その後、妊娠したい時期の直前に手術することになります。