不妊・妊婦の豆知識
[Vol.75] |
知っているようで、実は知らないことがたくさんある「卵子」。 卵子になる細胞は、胎児の時がもっとも多く数百万個。卵巣に原子卵胞がぎっしり詰まっています。女性の月経が始まり、第2次性徴を迎えるころには10分の1に減って数十万個。月に1個排卵しているので1年間に使う卵子の数は12個で、月経のある年数を40年で計算して合計480個。排卵誘発剤を使ったとしても、何十年も不妊治療をするわけではないから使う卵子は1000個程度です。 ではなぜ、数十万個もある卵子が40年ほどでゼロになるのでしょうか。 ゼロとは「閉経」を意味します。ほ乳類で閉経があるのはほぼ人間だけで、サルもチンパンジーも閉経がないため死ぬまで子どもを産み続けることができます。 人間の場合、50歳以上の妊産婦の死亡率がとても高く、卵子の老化に起因する染色体異常率も高くなるなど、デメリットが圧倒的に多く、出産時のリスクが高すぎます。 そのため、種の保存という観点から、閉経という独自の進化を遂げたのだと考えられています。 閉経するように遺伝子がプログラムされているため、数十万個ある卵子をゼロにしなければならない。毎月、1個排卵するたびに約1000個が自然消滅(アポトーシス)して、50歳前後でゼロになり、最終的に閉経を迎える という仕組みです。 次回は卵子の質や卵巣年齢などについてのお話です。お楽しみに。 [参考文献] Jineko 2015winter |