不妊・妊婦の豆知識
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難しい用語がいろいろと出てくる生殖医療用語。 よく聞く言葉だけど、あまり正確に知らないものも多いのでは? 勘違いや思い込みを防ぐためにもしっかり確認しておきましょう。 今回はその最終回です。 2つ症例名について簡単に紹介させて頂きます。 高プロラクチン血症妊娠中や授乳期以外に、乳腺刺激ホルモンであるプロラクチンの分泌が過剰になっている状態です。プロラクチンは乳腺を刺激して母乳の産生と分泌を促すとともに、間接的に排卵を抑える働きをします。授乳期のお母さんのおっぱいを赤ちゃんが吸うと、その刺激はお母さんの脳に伝わり、抑制されていたプロラクチンの分泌が解除されます。これによりプロラクチンが大量に分泌され母乳が作られます。 妊娠中~授乳期以外にプロラクチンが大量に増えると、妊娠していないのにおっぱいが出たり、黄体化ホルモンや卵胞刺激ホルモンの分泌が低下する結果、排卵障害や黄体機能不全がおこるため不妊の原因となることがあります。 ストレス、ホルモン分泌にかかわる視床下部や脳下垂体の病気、甲状腺機能低下症、また血圧の薬や抗うつ薬などの服用が原因として挙げられます。 治療はプロラクチンの濃度を下げる薬を服用しますが、下がりすぎることは逆に妊娠に悪影響を与えますので、定期的にプロラクチンの値を測定しながら慎重に投与を行います。 黄体機能不全脳下垂体から分泌される卵胞刺激ホルモンの分泌低下、黄体化ホルモンの分泌異常、卵胞の発育不良、高プロラクチン血症の存在などにより、排卵後に黄体が十分なプロゲステロン(黄体ホルモン)を分泌出来ない状態。プロゲステロンが低下しているため、基礎体温をつけたときに高温相の期間が短く(黄体の寿命が短い)、高温相と低温相の体温の差が0.3℃以内と少なくなります。また、子宮内膜は受精卵が着床し妊娠を維持するために必要な条件を満たせなくなります。 治療は原因により異なります。 卵胞の発育が良くない場合はクロミフェンで発育を促します。黄体期(高温相)にhCGを投与して、黄体を刺激したり、プロゲステロンを補充したりする方法がとられます。 |