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不妊・妊婦の豆知識

[Vol.67]
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一般不妊治療における主な排卵誘発療法
今回は、不妊治療を行うにあたって、知っておいた方が良い、主な排卵誘発療法についてお伝えします。現在治療中の方も、これからの方も、是非参考にされてみてください。

クロミフェン療法、クロミフェン/HCG療法

概要 クロミフェンは飲み薬の排卵誘発剤として広く用いられている製剤で、視床下部(間脳)を刺激して排卵を起こす作用があります。
視床下部からは、GnRHと呼ばれるホルモンが分泌され、卵巣からの排卵を起こします。
このホルモンの分泌が少ない場合にクロミフェンを投与することによりその分泌が促されます。
また、この薬を使用して卵子が成熟しても、卵子を排卵させるのに必要なLHというホルモンが放出されないことがあります。
この場合は成熟した時点でLHと同じ作用をするHCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)という注射をして、卵子の排出を促します。
製剤名 クロミフェン(クロミッド、セロフェン、フェミロン)
シクロフェニル(セキソビット)など
使用方法 月経第3日あるいは第5日より5日間、1日1~3錠内服。クロミフェンの内服開始後、10日ぐらいで卵胞が20~26mm程度に発育し、排卵が起こります。
クロミフェンは排卵誘発効果も高く、不妊治療の第一段階としてよく用いられている薬ですが、一方で使用が長期化すると、頚管粘液の分泌や子宮内膜の肥厚が妨げられることもあります。
クロミフェンで排卵誘発を行い、4周期以内に妊娠しなければ、他の治療法に変更したほうが良いでしょう。
副作用 クロミフェン療法では発育卵胞は1~3個と、それほど多くの卵子が初息することはありませんが、ごくまれに卵巣過剰刺激症候群(OHSS)や卵巣腫大をきたす事があります。また、まれに服用中に吐き気をもよおすことも。
多胎妊娠率は全体の2%程度です。

HMG/HCG療法

概要 HMGは下垂体から分泌される卵胞刺激ホルモンであるFSHの作用を有する薬剤で、下垂体の機能が低下した無月経に対する注射治療薬。下垂体性無月経や多嚢胞性卵巣による無月経がHMG療法の適応となります。
下垂体からは、LH、FSHという2種類のホルモンが分泌されますが、HMG製剤にもFSHとともにLHが含まれており、製剤によりその含有量は異なります。
LH成分に比べて、FSH成分の多い製剤をFSH製剤と呼びます。
製剤名 尿由来製剤、HMGフジ、HMG日研、ゴナピュール、HMGテイゾーなど
遺伝子組み換えFSH製剤、フォリスチム、ゴナールエフ
使用方法 月経第3~5日より連日あるいは隔日筋肉注射。
FSHは皮下注射も可能です。(自己注射ができます)
卵胞直径が16~18mm、卵胞あたりのエストロゲン(E2)が200pg/mlに達したら卵胞が十分に成熟したと推定されます。
この時点でLH作用を有するHCGを投与することにより、排卵が起こります。
副作用 排卵数を上げることは多胎児を増やすリスクがあります。
また、卵巣の状態によっては卵巣過剰刺激症候群(OHSS)を引き起こす場合も。
これらのリスクをできるだけ回避するために、注射の量や回数を調節していきます。

ジネコ 2015 vol.125より

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