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不妊・妊婦の豆知識

[Vol.26]
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タイプ別 妊娠力アップの食物
前回は、冷えのタイプ「気虚」について、その体質と妊娠力アップへのアドバイス、おすすめの食材、簡単薬膳ドリンクなどをご紹介しましたが、今回はその続編として「気滞(きたい)」と「血虚(けっきょ)」についてをご紹介しましょう。


気滞 : 気の流れが滞ってスムーズにいかなくなった状態。ストレスによって引き起こされます。
あなたは気滞タイプ?チェックしてみましょう

①のどに何かひっかかった感じになることがある
②わき腹やみぞおちが張ったり、痛んだりする
③イライラしやすかったり落ち込みやすい
④首筋や肩に、こりやぐりぐりがある
⑤便秘がちである
⑥ため息やゲップ、あくびが多い
⑦頭痛や片頭痛、または頭が張った感じになる
⑧香りのよいものをかぐとすっきりする
⑨ストレスがかかると、手足は冷えるのにのぼせてカーッとなる
⑩月経前にイライラや精神不安定にあることがある
⑪月経前に乳房が張ることがある
⑫月経前に便がゆるくなったり、下痢をしたりする
⑬月経の周期が早くなったり遅くなったり、ととのわない
⑭月経前から月経中に下腹の張ったような痛みがある
⑮経血は出方がスムーズでなかったりする(少し出て、しばらく止まってというような)

体質の特徴は?  
気滞とは、中医学で考える「気・血・水」の「気」の流れが妨げられ、巡りが悪くなった状態をいいます。気は車にたとえると、動力なので、エネルギーの流れが滞ることで、つかえや閉塞感、痛みなどがあらわれます。気滞は特に、首から上に顕著にあらわれるため、体調面では肩こりや頭痛、胸の息苦しさやつかえ、ため息やゲップなどがみられます。
 またこのタイプの冷えは、頭はのぼせているのに下半身が冷えるという症状が多いようです。メンタル面では、自律神経のコントロールがうまくいかず、イライラやモヤモヤ感、気分の落ち込み、不眠などの症状があらわれやすくなります。
 婦人科系で特徴的なのは、PMS(月経前症候群)です。排卵から月経開始までの間に、怒りっぽくなる、理由もないのに悲しくなるなどの精神不安のほか、下腹部の張りや痛み、乳房が張るなどの症状を訴える人も多いようです。
 気滞の主な原因は、精神的なストレスです。特にこのタイプの方は、まじめでストレスを受けやすい傾向がみられますので、とにかくストレスをため込まないことが肝心。心配事があっても気分を切りかえて、リラックスできる時間を持つようにしましょう。
 また、ストレスやプレッシャーを感じると、体質のタイプにかかわらず。どんな人でも一瞬にして気の巡りが悪くなり、気滞の状態になって症状があらわれる場合があります。ストレスは、中医学では不調の大きな原因の一つ。じょうずに発散するために、薬膳の食生活や気の巡りがよくなる食材などを覚えておくと役立ちます。また鍼灸によって改善されます。

気滞の特徴

[体質]
● 首や肩にこりがある
● ため息、ゲップが多い
● 片頭痛やみぞおちが張ったり、痛む

[婦人科系]
● 月経前にイライラする、精神不安がある
● 月経前に乳房が張る
● 月経前から月経中の下腹部に張ったような痛みがある
● 月経前後に便がゆるくなる、下痢をする
● 経血が少なかったり、多くなったりムラがある

[メンタル面]
● ふだんからイライラしやすい、怒りっぽい
● 不眠、熟睡できない
● 不安感がある

体と心をケアして、妊娠しやすいおだやかな状態に。鍼灸でストレスに負けない生活スタイルを身につけて

妊娠力アップには? 
中医学の不妊では、体のストレスを除き、おだやかで安らかな精神状態が必要と考えます。気を全身に巡らせ、血液や体液の流れを助け、妊娠しやすい体をつくるという考え方です。この働きを担う臓器が「肝(肝臓)」です。肝は中医学ではストレスを受け止める臓器といわれ、感情とも深くつながっていると考えられています。不妊で相談に見える方は、ストレスやプレッシャーをかかえていることが多く鍼灸と薬膳で「肝」をととのえることは、体はもちろん心のケアにも通じるのです。  また、春先など季節の変わり目はイライラ、涙もろいなど、精神のバランスがくずれやすい時期。これは暖かな春になることで、冬にためたエネルギーを外に向けて発散しようと「肝」が働いて起こる解毒症状の一つと、薬膳では考えます。花粉症などのアレルギー症状がでるのも解毒症状のあらわれです。「肝」をリラックスさせるには、フルーツや香りの野菜がおすすめです。

ストレス対策が最優先。趣味を見つけて気分転換を

 気滞タイプの方は、気持ちの切りかえが大切。好きな音楽を聴く、旅行に行く、山登りやスポーツなど、趣味を見つけて積極的に楽しみましょう。また、香りのよいお茶を飲んだり、アロマオイルを入れたお風呂にゆっくりつかったりと、日常の短い時間でも、一人で楽しめる時間と空間を確保することも大切です。
 また、気の巡りを悪くするので、体を締めつける服装は避けて。ガードルやきつめのジーンズなどは下半身の冷えを悪化させます。また、タートルネックも首回りの気の流れを阻害する場合があります。ゆったりした服にしてみましょう。

気の巡りをよくする「香りの強い食材」が薬膳効果が大。フルーツ、香味野菜、ハーブなどを積極的にとって
何を食べる?
セロリ、柑橘類 アロマテラピーと同様に、香りを食生活に取り入れるのが、このタイプの薬膳の考え方です。気の巡りをよくするとされるのが、フルーツや香りの強い野菜です。臓器「肝」の熱をとり、気分のモヤモヤやイライラを解消、リフレッシュさせる効果があるとされます。また同時に、含まれる酸味や苦みの成分は、消化液を出させ、胃腸の働きを活発にする作用もあり、一石二鳥。
 春に芽吹く新芽には、冬の間にためたエネルギーを外に向かって発散する強い力があると中医学では考え、山菜もよく使われます。冬の間は根菜類など、エネルギーをため込む根のものを食べることが多いので、春に山菜を食べることは、気のエネルギーを全身に巡らせる助けとなってくれます。

★気滞におすすめの食材
● 香りの強い野菜
  セロリ、春菊、三つ葉、にら、玉ねぎ、長ネギなど
● 香味野菜
  しょうが、にんにく、香菜(シャンツァイ)、青じそ、みょうがなど
● 野菜類全般
  にんじん、だいこん、ほうれんそうなど
● フルーツ(特に柑橘系)
  オレンジ、グレープフルーツ、ゆず、みかん、レモンなど
● ハーブ類、香辛料
  フェンネル、ローズマリー、タイム、八角など

【妊娠力アップのスペシャル食材】
菊花
オーバーヒーとした心と体の熱を発散。頭痛、目の充血、のぼせに効果があるとされる。おひたしなどに。
柑橘類
気の巡りをよくし、胃の働きも活発にする。特にみかんの皮は「陳皮(ちんぴ)」という漢方生薬の一つ。

【控えたほうがよい食材】
脂っこいものや糖分のとりすぎは、消化に負担をかけ、胃のもたれの原因になり、気の巡りも悪化させます。


毎日飲むことで効果が出る、簡単ドリンク

[材料(作りやすい分量)]
ゆず・・・・・・・300g
はちみつ・・・・400~450g

[作り方]
①ゆずはよく洗って半分に割って種をとり、薄く刻む。
②きれいに洗って煮沸滅菌したびんに①を入れ、はちみつを注ぐ。ときどき上下をひっくり返しながら2週間ほど漬ける。
③好みの量を湯にとかして飲む。

◆素材メモ [ゆず]
薬膳では、気の巡りをよくして肩こり、疲労をとる、せきをしずめ、痰を下げるとされる。中国の易では、冬至を境に暦が陰から陽に転じるため、ゆず湯は衰弱から再生を願うみそぎの名残りだといわれています。栄養学的には柑橘系に含まれる香り成分には、新陳代謝を上げ、リフレッシュさせる効果があります。

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