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不妊・妊婦の豆知識

[Vol.25]
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タイプ別 妊娠力アップの食物
物事にはすべて裏と表があるという「陰陽」の概念。
東洋医学の考えでは体の中には「気」・「血」・「水(津液)」という3つの要素が巡っています。

陰 陽
日なたがあれば日陰があるように、物事には裏と表があるという、中国の「陰陽論」。 一見むずかしくわかりづらい概念のようですが、今の感覚でいえば、「バランス」です。 何事も一つが過ぎれば、一つが引っ込むという具合で、薬膳で食生活を改善するときの、大きな考え方のもとになります。

気・血・水
中医学でよく使われる体を巡り、構成する要素です。

【気】
目には見えませんが、体の中を巡る「活動エネルギー」と「精神エネルギー」の両方をさします。元気の「気」も、気持ちの「気」もこのことをさしています。体を車にたとえれば、気は動力で、気には血や水を動かす作用があるため、気が不足したり流れが滞れば、血や水にも影響が出ます。気が乱れれば、精神的に不安定な状態になります。

【血】
現代医学の血液とほぼ同じ意味です。体を車にたとえれば、血はガソリンです。体全体の細胞や臓器に栄養を送り、体温や呼吸を一定に保ちます。血が不足したり、流れが滞ったりすると、体の不調を招きます。婦人科系の場合はホルモンや月経などにも大きく影響を与えるため、妊娠力をアップする重要な要素になります。

【水(津液)】
「水」は血液以外の水分のことをさします。体外に排出される汗。鼻水、尿のほか、体内のリンパ液、組織液、唾液、目や口の粘膜液などを含みます。体を巡って皮膚や関節、内臓までうるおします。老廃物の排出や、免疫の調整も行います。流れが滞ったり過剰になるとむくみが起き、不足すれば肌の乾燥、ドライアイなどの不調の原因になります。

妊娠力アップに関係ある重要な臓器は「腎・肝・脾」である
【腎】
現代医学でいうと、腎臓、膀胱系、生殖系、それに伴う神経系や脳の一部も含み、ある意味、概念的なもの。場所はへその裏側、ちょうど腰のあたりと考えられています。腎は生育、成熟、老化や生殖のエネルギーを司っているとされています。命や生殖にかかわるため妊娠とも深いかかわりがあります。
命の火(命門の火)

「腎」には体をあたためるもととなる「命の火」=陽気が宿るとされています。おへその裏側にある「命門」という経絡のツボあたりがそれとされ、別名 「命門の火」ともいわれます。
この火の勢いが弱いと、体全体をあたためる力が極端に弱く、頑固な冷えの原因に。また、この火の勢いが「腎」のパワーにもつながるため、妊娠にも大きく関係します。
生まれつき命の火が弱くても、薬膳などで食生活を工夫したり、脾(胃腸)からエネルギーを補給することで、炎をおおきくすることができます。

【肝】
現代医学でいう肝臓とほぼ同じ意味ですが、中医学では、血液をためておく臓器であり、月経周期のある女性にとっては、非常に重要で密接です。
また「肝」は、ストレスを受け止めるなどメンタル面と深く関わっていると 考えられています。特に怒りの感情とつながっていて、肝にトラブルがあると イライラ感などが強くなります。

【脾】
現代医学でいう胃腸を意味します。薬膳にとって、「脾」はある意味、最も重要です。というのは、食べ物は胃で消化され、腸で吸収され、はじめて体に栄養としてとり込まれ、「気」「血」「水」となりうるからです。


こんな生活スタイルが、あなたの冷え症状を悪化させます!
一口に冷えといっても原因はさまざま。それによって鍼灸と薬膳の処方は異なります。 まずは、あなたの生活を見直してみましょう。 毎日なにげない習慣やクセ、好みが冷えにつながっているのかもしれません。

①おなかを出したり、ひざ下を出す服装が多い
②清涼飲料水やアイスカフェオレなど、冬でも冷たい飲み物をよく飲む
③運動が週1回以下である
④食事はおなかいっぱいになるまで食べるほうだ
⑤夏にクーラーを長時間使用する
⑥スナック菓子や甘い菓子、チョコレートをよく食べる
⑦しもやけができやすい。足が冷えるので靴下をはいて寝る
⑧乳製品をほぼ毎日食べる
⑨お風呂は湯ぶねにつかることが少なく、シャワーが多い
⑩仕事や生活のプレッシャーが強い

①、⑤番は体が外からの冷えにさらされています。
②、④、⑥、⑧番は、胃腸が冷える原因になったり、胃腸の消化を妨げることで冷えに つながっている可能性が。
⑨、⑩番は、日々の疲れやストレスがたまることで、冷えにつながっているかも。

適度な運動は、気分をリフレッシュさせ気の巡りもよくして胃腸の運動も活発になります。

あなたの冷えはどのタイプ?
冷えは一人一人、症状が違います。少々項目が多くてめんどうかもしれませんが、こまかくチェックすることで自分の体と向き合い、自分の体を知る。これが鍼灸と薬膳での食生活改善の第一歩です。

以下の質問を読んで、あてはまるかどうかをチェックしてみて下さい。

【タイプ1 気虚(ききょ)】
①体の冷え、特に手足が冷たい
②顔色が白っぽい、または黄色みがかっている
③暑くなくても汗が出る、動くと汗が出やすい
④疲れやすい、倦怠感、息切れもいずれかがある
⑤カゼをひきやすい
⑥舌が白っぽく、舌の周りに歯のあとがつく
⑦食べると胃がもたれやすい、または食後眠くなる
⑧胃下垂や子宮下垂などがある
⑨おなかをこわしやすく、下痢や軟便になりやすい
⑩物事をよく考え、デリケートなほうである
⑪月経周期は早くなりやすい
⑫月経中、または月経後に鈍い痛みがある
⑬経血が少なく、色が淡く気薄
⑭中間出血を起こしたり、月経の出血が長引くことがある
⑮セックスがめんどくさいと感じたり、妊娠できなければどうしようと不安感を抱え たりすることが多い


睡眠を持ち越さない工夫を

体質の特徴は?  
中医学で考える「気・血・水」の「気」が不足した状態が「気虚」です。体を車にたとえると、気はエンジンの動力。目には見えませんが、生命活動を維持する精神的、肉体的エネルギーをさします。体全体を巡って動かすエネルギーが不足することで、栄養や酸素などのめぐりが悪化。結果として、手足が冷える、寒がるなどの冷えがみられます。
 このタイプのおおきな特徴は、特に胃腸の弱い方に多くみられることです。胃がもたれやすい、おなかをこわしやすく下痢しやすいなどが思い当たる方はこのタイプにあてはまります。日本人は欧米人よりも胃腸が弱い民族なので、このタイプの方は多いといえます。
 体調面では、疲れやすく、倦怠感があります。気は体表をバリアのようにおおって守る働きも担っているので、免疫力の低下からカゼをひきやすくなったり、長期化する傾向がみられます。婦人科系では、気が足りなくなると臓器を支える力も弱まり、月経周期が早くなりやすくなります。また月経は「気」と「血」を消耗するため、だるくなり、月経後に鈍痛が出る症状もメンタル面では、ひどくなるとコミュニケーションをとるのもめんどうという無気力状態になることも。セックスがめんどうくさいと感じたりする場合もあります。
 エネルギー不足なので特に過労には注意。疲れから精神的にも気を消耗して、気持ちもネガティブになりがちです。疲れやすいので「こまめに休む」を心得て、充分な睡眠をとる工夫をしましょう。
気虚の特徴

[体質]
● 疲れやすい、倦怠感、気力が出ない、息切れ
● 食欲が出ない、小食、食べると眠くなる
● 胃がもたれやすい、下痢をしやすい
● カゼをひきやすい
● 少し動いただけで汗が出る
● 体の冷え(特に手足が冷える、冷たい)

[婦人科系]
● 月経周期が早くなる(前倒しになる)
● 月経中、後に鈍い痛みがある
● 月経の出血が長引くことがる
● セックスがめんどうくさいと感じる

[メンタル面]
● 落ち込みやすい、くよくよしやすい
● ささいなことが気になり、いろいろと考えたりしやすい

気虚タイプの人は、とにかく胃腸のケアが大切。「消化力」をつけることで、妊娠力もアップします。

妊娠力アップには?
妊娠を望む方にとって中医学で大切とされるのが、生命や生殖エネルギーをつかさどる臓器「腎」です。そして、この腎に気を補っているMPが「脾(消化器官)」からのエネルギー。妊娠しやすい体、子宮の環境をととのえるために、一見遠回りのようですが、胃腸の働きをととのえることは実は重要課題の一つ。
 食べ物は、胃腸で消化され、吸収されてはじめて血となり肉となります。胃腸の働きをよい状態に保つことは、すべての体質の方に共通する薬膳の根本理論ですが、気虚タイプの方は、ほとんどといっていいくらい胃腸の弱い方が多いため、特に胃腸のケアが薬膳の中心になると考えています。
 何を食べるかも重要ですが、このタイプの方はどう食べるかもポイント。量は腹八分目にして食べすぎは禁物です。また、夏バテは胃腸の働きが落ちるので、焼肉やうなぎはかえって逆効果になることも。胃を酷使しないように。

おなかをあたためると胃の働きが活発に。散歩や呼吸法も○

 寝るときや休憩のときに腹部にホットパック(電子レンジであたためるタイプのものなど)を置いてあげると、胃の働きにもよく、気持ちもリラックスします。
 もともと体力がないタイプなので、過労にならないように注意して生活しましょう。適度な運動はいいですが、汗をかきすぎるような激しい運動は、極度に気を減退させます。ウォーキングなどの軽い有酸素運動やヨガなどの呼吸法をとり入れた運動がおすすめ。気をふやす助けになります。体をあたためるとリラックスできるので、入浴は必ず湯ぶねに入って。温度の高いサウナは気・血ともに消耗するので控えたほうが無難です。
このタイプの男性へアドバイス
気虚タイプの男性は、体もメンタル的にもデリケートな方が多くみられます。栄養をつけさせようと、揚げ物や肉料理など脂っこいもの、栄養価の高いものを食べさせるのは逆効果。また、精神的に追い詰めないことも大切です。

胃腸を守りながら、おだやかに「気」を増やすには、特にねばねば系のいも類がおすすめです。
何を食べる?
山芋、里芋 消化がよく、すぐにエネルギーとなる炭水化物は欠かせません。米やじゃがいものほか、特におすすめなのは、山いも、里いもなどの粘りけのあるいも類です。ねばねばの成分は、栄養学的には食物繊維とタンパク質が結合した物質のムチン。特に胃の粘膜保護にすぐれていて、薬膳でも昔から経験的に胃腸を守り、消化を助けると使われてきました。薬膳では特に「体に粘りをつける」=「体力をつける」と考えられ、滋養や虚弱体質改善には欠かせない食材です。
 脂が少なく、消化のよい鶏肉や、かつお、鮭、たいなどの魚類、消化のよいとうふなどの大豆製品も、体力をつける食材です。また、料理には、消化を助ける香味や野菜やハーブ類をいっしょに使ってみましょう。胃腸の働きが活発になり、胃もたれも防ぐため、おすすめです。

★気虚におすすめの食材
● 穀類
  米、もち米、栗、大麦
● いも類
  山いも(長いも、やまといも) 里いも、じゃがいも、さつまいも
● 豆類
  えんどう豆、ささげ、大豆、とうふ
● 木の実類
  くるみ、アーモンド、栗など
● 植物性の発酵食品
  納豆、みそ、甘酒、酒かす
● 野菜類
  かぼちゃ、にんじん、キャベツ、きのこ類
● 消化のよい肉や魚
  鶏肉、さば、かつお、鮭、たい、いわし、ひらめなど
● 香味野菜やハーブ
  しょうが、香菜、しそ、ミント、タイムなど

【妊娠力アップのスペシャル食材】
高麗にんじん(おたねにんじん)
>>> 気を直接的にふやして高める特効薬的食材
なつめ
>>> 気と血をふやし、体をあたためる

【控えたほうがよい食材】
消化の悪いもの、牛乳や糖分のとりすぎ、冷たいもの、辛すぎるもの、生の大根の食べすぎ(生の大根は「下におろす」という作用があるため下痢をしやすく、気を消耗する原因に)


毎日飲むことで効果が出る、簡単ドリンク

[材料(2人分)]
しょうが・・・約3cm角(10g)
ミント・・・ひとつかみ(約5g)

[作り方]
①しょうがは洗って皮ごと薄切りにする。ミントは洗う。
②ティーポットに1を入れ、熱湯300~400mlを注いで2~3分蒸らしてからカップに注ぐ。多めに作って冷やして飲んでもおいしい。

◆素材メモ [ミント]
胃の湿(余分な水分)を排出させ、胃腸の働きを高めて消化・吸収力を上げる食材の一つ。頭痛、目の充血、のどの痛みなどのカゼの初期症状にも使われるほか、気分をすっきりさせる香りの成分がイライラや心のざわつきをとります。

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