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不妊・妊婦の豆知識

[Vol.143]
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冷えと不妊の関係 特集① 将来の妊娠に備えたプレコンセプションケアで「冷え」も予防
社会で活躍する女性の増加とともに生活スタイルが変化し、不妊リスクの高いやせ型や肥満型の女性が増えているそうです。なかでもやせ型の女性は「冷え」により、さまざまな不調を引き起こしやすいといいます。
妊娠に向けて今からできる対策とは?

不妊リスクの高いやせ型の女性が増加

「冷え」は明確に診断するのが難しく、ご本人の自覚によるところが大きい症状です。
もともと血液の循環が悪く冷えを感じ方もいますが、冷えの症状を訴える女性のほとんどはやせ型の方です。
今、日本では不妊リスの高いやせ型の女性が増加しています。近年は思春期からやせ型になる環境に陥りやすく、さらに妊娠適齢期では女性の社会進出によって生活スタイルが変化し、低栄養状態などでホルモンバランスを崩しやすくなっています。さらに問題なのはメディアの影響です。やせ型のモデル体型に憧れる女性が、過激なダイエットを試みるケースは後を絶ちません。
日本の女性は、標準的な体重でも「自分は太っている」と感じる方が18%、やせすぎでも「自分の体型は普通」と感じる方が10%を超えています。
このような体重への誤った認識も「冷え」の要因の一つになっていると思います。

低栄養状態が「冷え」をまねき月経障害や排卵障害の原因に

健康な女性の体型はBMI(体格指数=体重(kg)÷身長(m)×身長(m))が21、体脂肪率は21~23と適度な脂肪が必要です。しかし、BMIが18.5未満のやせ型の女性の割合は20~29歳で約20%、30~39歳で約15%、40~49歳で約10%と少ないものの年々増加しています。
その理由の一つに妊娠適齢期の女性の4人に1人が朝食を抜いていることがあります。
たとえば20代女性の1日に必要なエネルキーの摂取量は1700~2300kcalですが、実際の現取量は1700kcal程度と不足がちです。低栄養状態で体重が減少し、皮下脂肪も減少すると脳の視床下部は生命の危険を感じて女性ホルモンの分を抑制します。
その結果、月経障害や排卵障害を起こし、不妊症につながりやすくなります。
そもそもやせ型の女性は妊娠自体が難しくなりますが、仮に妊娠しても赤ちゃんが母胎から十分な栄養を摂取できないため、2500g未満て生まれる低出生体重児の割合が増えます。
それだけでなく低出生体重の赤ちゃんは将来、糖尿病や高血圧などの生活習慣病になるリスクを抱えることにもなります。

将来の妊娠に備えた体づくりプレコンセプションケア

健康な赤ちゃんを授かるためには、やせ型はもちろん肥満型の女性も妊娠前からリスクを減らす体づくりが大切です。
コンセプションは「妊娠する」という意味で、プレコンセプションケアは、将来の妊娠を考えながら、ご夫婦で自分たちの生活や健康に向き合うことです。
そこで患者様から「冷え」の相談を受けた時は、プレコンセプションケアの考えに沿って次の4つのアドバイスをしています。
ご希望によっては排卵をうながす「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」や「温経湯」など漢方薬も処方していますが、ご自身の体質改善が「冷え」の予防にもっとも効果が高いと考えています。

①栄養管理
抗酸化作用のあるビタミンDなどを多く含む食品を摂る。糖質を摂りすぎない。
②生活習慣
禁煙をする。良質な睡眠をとる。湯船に浸かる入浴法などで体を温かく保つ。
③メンタルヘルス
ストレスをためない生活を心がける。
④適度なエクササイズ
30分×週3回のウォーキングやエクササイズなどで骨盤の血流を上げる。

妊娠適齢期の女性で運動習慣がある方は10%未満とかなり低く、運動不足も「冷え」に大きく関係しています。
特に下半身を動かす適度な運動は、骨盤の血流を上げる効果がありますから、「冷え」の改善とともに子宮や卵子への良い影響が期待できます。
「冷え」の原因は、生活スタイルの変化にともなう低栄養状態や運動不足、誤った体重認識によるやせ型の増加など複数の要因が関係しています。
不妊治療の技術向上で総体的に妊娠率は高くなっているため、本質的な問題に気づきにくいのかもしれませんが、妊娠リスクが上がっている女性は確実に増えています。
妊娠してからのケアでは遅すぎることもあります。これまでの生活スタイルを見直して、いつでも赤ちゃんを迎えられる準備をしてください。


[参考文献]
ジネコ(Jineko.net 2020 winter)

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