不妊・妊婦の豆知識
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授かる前から蓄えておきたい栄養素について解説します。
サプリメントを上手に利用して楽しく食べることも大事
不妊治療中、子づくりにおいても、食生活や栄養素は大いに影響します。たとえば、亜鉛。生殖機能とも関連が深く、“セックスミネラル”とも呼ばれ、女性ホルモンを活性化させ、精子の形成にも必要なミネラルです。
不妊治療中は、とかく女性の健康管理ばかりに目が向きがちですが、パートナーの栄養状態にも気遣う必要があります。食生活の改善は、ぜひご夫婦で取り組んでください。
葉酸のほか、鉄、ビタミンE、ビタミンB群、ビタミンDなども、妊娠前から妊娠中に不足させたくない栄養素です。研究が進むにつれ、鉄分が着床にかかわっている、ビタミンEが卵子や子宮内膜の質を改善する、血中のビタミンD濃度が高いと妊娠率が上がる、といった報告も増えています。当たり前のことですが、やはり栄養バランスの整った食事は健康な体づくりの基本。食生活をおろそかにしては、卵子の健康も脅かされます。
とはいえ、あまり神経質になりすぎるのもかえってストレスに。仕事をしながら妊娠を計画される方も多いなか、食事面ばかりに気を遣うのも難しいことでしょう。「忙しくて、簡単な食事で済ませてしまった」という日もきっとあるはず。そんな時のために、信頼できるサプリメントが一つあると安心です。現在では幸いなことに、妊婦さん向け、プレ妊婦さん向けといったサプリメントも多く登場しています。上手に取り入れ、まずは食事を“楽しむ”ことから始めましょう。
先天性異常を防ぐために今のうちから「葉酸」を
妊娠を望まれる初診の患者さんには、まず「葉酸を摂っていますか」とお聞きしています。葉酸は、たんぱく質や細胞の新生に必要な核酸(DNA、RNA)をつくるのに重要な役割を果たす栄養素で、特に妊娠初期には欠かせないビタミンの一種です。不足すると“二分脊椎症”といった、胎児の先天性異常を発症するリスクが高まります。
二分脊椎症は、先天的に脊椎骨が形成不全であるために起きる神経管閉鎖障害の一つで、症状が重いと下肢の麻痺や変形、排尿障害などをともないます。水頭症を合併することも少なくなく、脳神経にも影響します。
しかし、多くの場合では、妊娠に気づくのは早くても4~5週あたりになります。胎児の重要な臓器はそれ以前、3週目ぐらいからすでにつくられ始めるとされているので、妊娠に気づいてから慌てて葉酸を摂取しても、間に合わないのです。そのため、厚生労働省も※「妊娠1カ月以上前から妊娠3カ月までは、健康食品等から1日400㎍以上の摂取を」と、呼びかけています。
葉酸の摂取ですべての先天性異常が防げるわけではありませんが、「防げる障害もある」と知っておくのは大切なこと。妊活を始めたら、ぜひこれまでより積極的に葉酸を摂るよう心がけてください。
葉酸は、レバーや緑黄野菜に多く含まれます。牛レバー50gに500㎍、ほうれん草50gに105㎍、アボカド1個200gで160㎍程度。食事だけでまかなうのはなかなか難しいものです。サプリメントでの補充をお勧めします。
※「神経管閉鎖障害の発症リスク低減のための妊娠可能な年齢の女性等に対する葉酸の摂取に係る適切な情報提供の推進について」平成12年12月28日/厚生労働省)
※栄養補助食品を利用する場合は、必ず1日の摂取目安量を守ってください。
女性のための健康生活マガジン jineko vol.33 2017 Spring