不妊・妊婦の豆知識
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健康的な体で、元気な赤ちゃんを産むためには、今から何をしておけばいいのでしょうか。 妊娠する前に知っておくことや、やっておくことについて、前回に引き続き「体重と妊活」に関するテーマでお伝えします。 妊娠しやすい適正な体重は?BMIでいうと21~23の範囲で体重をキープするのが理想的自分は肥満なのか痩せすぎなのかを調べる方法として、BMI(Body Mass Index)という指標があります。これは体重と身長の関係から算出される体格指数のこと。 月経異常との関連を見ると、月経異常の頻度はBMI22~23で最も低く、24~25で2倍、35以上では5倍にもなります。また、BMIが18.5未満でも月経異常が起こりやすくなると言われています。やせでも19を切らなければ妊娠に関して大きな影響はないとされていますが、BMI30以上の肥満女性は不妊のリスクが標準体重の人と比べて2倍になり、妊娠した後も胎児や母体に起こる合併症の危険性が明らかに上昇します。 このような傾向から考えると、妊娠を希望している方はBMI21~23の範囲で体重をキープされるのが望ましいかと思います。 太っている人は体重が減るだけで排卵率が上がるというデータもあります。妊娠に向けてダイエットも有効な治療の一つだと思いますが、どんな方法がいいかは生活習慣や体質など、その方の背景によっても異なるので、一概にこれがいいとは言えません。 可食や糖分・脂肪分の摂りすぎを控え、バランスの良い食生活を心掛けることが一番ですが、なかなかうまくいかないという人も多いと思います。最近は栄養士による食事指導を行っている病院も多いので、一人で頑張るのが難しい方はそのような機会を積極的に利用してみてはいかがでしょうか。 不妊治療をすると太る?脂肪の量が極端に増減すると月経異常などを起こすことも女性ホルモンの一種であるエストロゲンには細胞を増殖させる働きがあるので、排卵誘発などでこのホルモンが過剰になると、脂肪細胞も増えてしまう可能性があります。 また、排卵後に出るプロゲステロンというホルモンには、受精卵を着床しやすくするために子宮内に水をため込む働きがあるので体がむくみやすくなったり、腸の動きを鈍くする作用で便秘ぎみになることもあります。 このようなことから、強い卵巣刺激を繰り返していると、体重が増えやすくなることもあるかもしれません。もともと肥満ぎみの方は特に過食などに気を付けて、うまくコントロールしながら治療を続けて頂ければと思います。 [参考文献] Jineko 2016Autumn |