不妊・妊婦の豆知識
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女性は男性に比べて体格が小さいので、肝臓の大きさも小さくできています。そのため、男性よりも少ない飲酒量、より短期間(男性の半分)でアルコール性の内臓疾患になりやすくなってしまいます。 また、女性は男性より体脂肪が多く、その分だけ体内の水分量が少ないということ。アルコールは脂肪に溶けにくいため、お酒を飲んだ時の血中アルコール濃度が男性よりも高くなります。さらに、女性ホルモンにはアルコールの分解を抑える作用があるともいわれています。「女性にとっての適量は男性よりも少量である」という認識を持つようにしましょう。 (※1) お酒と薬を併用すると、薬がうまく作用しなくなってしまうことがあります。慢性的に飲酒をしている人は飲んでいない時でも薬が効きにくくなり、アルコールと薬を同時に摂取した場合は薬の作用が強く現れすぎてしまうことも。 前者は、アルコールも薬も代謝する酵素系がお酒を飲むことで活性が高まり、アルコールに強くなるのと同時に薬に対する耐性も上がるため、薬が効きにくくなります。後者は、アルコールを優先して代謝しなければならないため、分解を妨げ合うことで薬の効果が長引きます。 (※1) アルコールを分解する酵素は肝臓にあり、体内に入ったアルコールのほとんどは肝臓で代謝されていますが、男性の場合は精巣にもアルコールを分解する酵素が存在します。そのため、過度にお酒を摂取すると、分解の過程で発生する「アセトアルデヒド」という物質が精巣の中に増加してしまうことがあります。このアセトアルデヒドは非常に毒性が強い物質で、精巣内に蓄積すると、精子をつくる機能を失ったり、男性ホルモンの合成を抑制してしまうことがある、という研究も報告されています。 アメリカで飲酒と不妊治療の成績の関係を調べたところ、週に4単位以上のアルコールを摂取する女性は、4単位未満の女性に比べて、出産に至る確率が16%程度低く、男女とも週4単位以上を摂取するカップルは、どちらも4単位未満しか飲まないカップルに比べて出産に至る確率が21%程度低く、受精率は48%程度も低かったというデータが報告されています。 (※2) ▼アルコール1単位 ビール中瓶1本、日本酒で1合、ワインで3分の1本、ウィスキーの水割りで1杯、焼酎お湯割りで0.6合が目安 妊娠した女性が飲酒すると、胎盤を通じてアルコールは胎児の血液に流れ込みます。妊娠中に多量に飲酒すると「胎児性アルコール症候群(FAS)」を起こし、知能障害を主とする中枢神経系の機能障害や発達障害、大小奇形頻度の増加など、赤ちゃんに悪い影響を及ぼすことがあります。FASになるかどうかは、飲酒量や母親の年齢、体格など個人差がありますが、妊娠中の飲酒は赤ちゃんにとっていいことはありません。妊娠を意識した段階から禁酒を心がけることが必要です。(※1) ※ 1=参考 / 公益社団法人「アルコール健康医学会」ホームページ ※ 2=出典 / Efect of Alcohal Consumption on In Vitro Fertlization Rossi Brooke.et al.Obstet Gynecol.2011Jan:117(1):136-142 |