不妊・妊婦の豆知識
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このページでは、不妊で通院等をされている患者さんが抱える様々な質問や不安をQ&A方式で記載します。 【Q21】 凍結胚を融解したときに壊れてしまいました。原因はなんでしょうか? 【A21】 融解したときにこわれる胚は、例えば凍結せずに子宮に移植した場合も着床する力がないくらい弱い、という見方があります。しかし、実際に良好な受精卵を凍結したからと言って、100%融解に成功するという保証もありません。 凍結した胚を融解して壊れない場合は、それだけ強い胚だということです。融解に耐えられる胚を作ることが大切といえるでしょう。 【Q22】 40代になってから、卵胞がうまく育たず採卵が出来ません。これは年齢的な問題があるのでしょうか。また、採卵⇒移植というステップを踏むために、何か良い方法があれば教えてください。 【A22】 これまでのデータによると、平均して卵胞は43歳を境になかなか育たなくなります。43歳以降では、卵胞が育ち採卵をしても空の確率のほうが高いかもしれません。もちろん例外もたくさんあり、45歳を過ぎてもきちんと卵胞が育って採卵が出来る人もいます。 大切なのは、少数ながら存在する釣行な卵子を見逃さないことです。月経3日目のホルモン値を毎月測り、超音波で卵胞が出来るのを観察しながら卵胞が育ってきらた卵巣にかかる負荷を最小限にとどめた方法で採卵するのを繰り返すことだと思います。 【Q23】 月経3日目の卵胞刺激ホルモンと黄体ホルモンの数値が基準値を上回り、なかなか下がりません。なせでしょうか? 【A23】 年齢が上がれば上がるほど、ときに卵胞刺激ホルモンの数値がなかなか下がらなくなります。カウフマン療法を2~3回を2~3回連速して受けてみて、効果が得られた場合は、そのまま採卵に持ち込めます。変わらない場合は、月経3日目のホルモン値を毎月見ながら、卵胞が育つのを待ちます。卵胞刺激ホルモンと黄体化ホルモンの数値が高くても、月経が毎月ある場合は、排卵が起こっている可能性があります。この場合も卵胞の発育を観察し、卵胞ができたら採卵するという方法を選ぶのもひとつの手です。 【Q24】 40代の主婦です。ロングプロトコール法やアンタゴニスト法(GnRH製剤を他の採卵法と組み合わせて採卵する方法での採卵で、出来れば複数個の卵胞を作って凍結し、移植に備えたいと考えています。。アドバイスをお願いします。 【A24】 卵巣予備能力(卵巣が備えている能力)が正常であれば、アンタゴニスト法と組み合わせた誘発方法を取り入れ、卵胞を複数個作ることが可能です。しかし、卵巣は年齢が上がるとともに機能が低下し、卵胞数も減ってきます。まずは残りの原始卵胞がどのくらいあるのかを調べ、採卵する月の前胞状卵胞の個数次第で誘発方法を選択してはいかがでしょうか。 ロングプロトコール法での採卵は、質が高くて大きさの揃った卵子複数個の採卵が期待できます。しかし、卵巣にかなりの負担をかけることになり、卵巣年齢次第では、反動で翌月から月経が止まったり、卵胞が極端に出来なくなったりする可能性もあります。自然周期のときに淘汰されて発育してくる1個の卵子を育て、採卵していくのが、年齢に合ったいちばんの方法でしょう。 同じ40代の女性として考えると、月経が泊まる可能性があるロングプロトコール法は私としては少し怖くて選択出来ません。 【Q25】 体外受精を受けるにあたって、夫側には問題がなく、私が高齢ということで、顕微授精を強く勧められました。体外受精では本当に無理なのでしょうか? 【A25】 卵子のまわりの殻が硬く、精子が侵入しづらくなるという見解から、少し前までは40歳以上の人には顕微授精を行うのが主流でした。現在では、顕微授精の方が確実だという意見と、なるべく自然でという意見と、学会でも意見が二つに分かれています。2~3度体外受精を行なって、男性側に問題がないにも関わらず受精しなかった場合は、成功率を上げるためにも顕微授精を受けてみるのも良いかもしれません。 【Q26】 不妊の場合、年齢別の対処法はありますか? 【A26】 20代、30代、40代と分けての対処法というのは、実際にはありません。ただし、年齢が40歳を超えた人が対処を開始した場合、20代の人と同じように子宮を見ながら、排卵日をより正確に予測し、それに合わせて性交渉を持つ「タイミング指導」からコツコツ行うよりも、検査結果次第では体外受精などの高度不妊から開始することはあります。結局、年代別というよりも、その人に合った対処法を見つけていくということが一番だと考えます。 【Q27】 突然、卵胞刺激ホルモンの数値が高くなりました。医師からは早発閉経(通常よりも早く月経が止まること)ではないかと言われ、心配しています。早発閉経になったら何か対処法はあるのでしょうか。 【A27】 具体的な数値がわからないため、ハッキリとしたことは言えませんが、毎周期続くようならば早発閉経の疑いがあります。しかし、1回高くなり、また次周期には下がったということであれば、その時の体調などもあると思います。 対処法は、抗ミュラー管ホルモン値を測り、卵胞がまだまだ育つようならばカウフマン療法を毎周期行い、月経3日目に血液検査をします。卵胞刺激ホルモン値が下がれば卵胞が育つ可能性があるので、誘発をして育つかどうかを観察します。卵胞が育てば採卵となります。早期閉経の場合、なかなか卵胞刺激ホルモン値がさがりませんが、根気強くカウフマン療法を行い、卵胞刺激ホルモンの推移を見逃さないことが大切です。 【Q28】 採卵前にお酒やタバコは控えたほうが良いのですか。 【A28】 少量のアルコールは血流を良くする作用もあります。晩酌程度であれば問題ありません。ただし、禁煙は必ず実行してください。タバコは百害あって一利なし。どうしても吸わなければストレスになるという人は、食後の1本などに留めましょう。採卵前といわず、これはすべての人に言えることです。 【Q29】 胚の移植後はどういった生活を心がければよいでしょうか。 【A29】 ストレスのない穏やかな生活が理想的ですが、基本的には普段の生活と同じで構いません。ただい、激しい運動は禁物です。ウォーキングなどの軽いものであれば問題ありません。 【Q30】 妊娠検査薬で陽性が出たのに、月経が来てしまいました。医師から「化学流産」と言われましたが、これはどういったものなのでしょうか。また、出血の最初のころに薬の服用などで化学流産を阻止できた可能性はありますか。 【A30】 化学流産とは、妊娠検査で陽性となり、着床した形跡があるのに、それを維持できず月経がくることを言います。その場合のほとんどが胚の染色体異常が原因だと言われています。 胎嚢(胎児が育つための袋のようなもの)や心音が確認され、さらに胎児が成長している場合は、止血剤などをしようして流産を止めることも考えられますが、月経と同じくらいの周期で出血が始まる場合は、化学流産を止める方法は残念ながらありません。染色体に異常があるため、自然淘汰されるのです。 |