不妊・妊婦の豆知識
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不妊症の検査も、現在の状況や月経周期の時期によって様々な方法があります。 今回の豆知識では、その検査方法の中で、月経周期の時期により異なる検査方法を簡単にご紹介します。 是非参考にされてみてください。 月経中【検査名】血中ホルモン測定 【検査内容】 脳下垂体から分泌される卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体化ホルモン(LH)、プロラクチン(PRL)、エストロゲン(E2)の数値を血液検査で測定。 排卵をコントロールする視床下部・下垂体機能を診断、多嚢胞性卵巣の診断に有効です。 <月経が不順の場合> 原因がどこにあるのかを調べるために、LH-RHテストという負荷試験(注射後30分、60分後に採血する検査)を行います。 【検査でわかること】 卵巣の機能。 卵巣機能が低下している場合には、E2、FSHが上昇します。 低温期(排卵前)【検査名】子宮卵管造影検査 【検査内容】 シリコン製の柔らかく細いカテーテルを用いて子宮内に造影剤を注入し、卵管や子宮のレントゲン写真を撮影。 【検査でわかること】 子宮内腔の形や大きさ、卵管の通過性、卵管周囲の癒着の有無が分かります。 低―高温期(排卵期)【検査名】超音波検査、頸管粘液検査、血中エストロゲン測定 フーナーテスト(ミラークルツロックテスト) 【検査内容】 排卵が近づくにつれて子宮内膜は肥厚し、卵子を包む卵胞は卵巣内で急速に大きさを増します。これらの変化を超音波で確認し、血中のエストロゲンの数値を血液検査で測定。 また、排卵の時期、性交渉の翌日に来院していただき、頸管粘液を調べるのがフーナーテスト。性交渉が持てなかった場合は、精子・頸管粘液を別個に採取して調べるミラークルツロックテストを行います。 【検査でわかること】 卵胞の発育が順調に進んでいるか、子宮内膜はきちんと厚くなっているかを確認、診断。 また、排卵が近くなると子宮頸部(子宮の出口部分)から頚管粘液が分泌されます。これにより精子は子宮内に進入。性交後の頚管粘液を調べることで、頚管粘液中の精子の運動性がわかります。 高温期(排卵後)【検査名】超音波検査、黄体ホルモン検査(子宮内膜症の検査) 【検査内容】 血中の黄体ホルモン数値を血液検査で測定するとともに、超音波で子宮内膜の厚さを調べます。 また、月経中以外の時期には子宮内膜症のスクリーニング検査として、子宮内膜症の時に上昇する物質《CA125》を測定する血液検査を行う場合もあります。 【検査でわかること】 排卵して空になった卵胞は黄体を形成して黄体ホルモンを分泌し、子宮内膜を厚くして胚の着床を助けます。血中の黄体ホルモンの測定や超音波で子宮内膜の状態を診ることで、この過程が正常に進んでいるかどうかが分かります。 また、超音波では、不妊症の原因となる異常の一つ「黄体化未破裂卵胞症候群(卵子が卵胞内にとどまり、外に飛び出すことができない)」の有無も調べることが出来ます。 |